つながりが未来を変える─ACE研究からみえるCoCo SoRaの存在意義

 子ども時代に経験する逆境的体験は、その後の人生に長く影響を残すことがあります。 虐待、家族の不和、精神疾患や依存症がある親との生活、こどもへの過剰な期待や価値観の押しつけ──。 こうした「ACE(逆境的小児期体験)」は、大人になってからの心身の健康、対人関係、社会参加にまで影響を及ぼすことが研究で示されています。

 子ども時代に経験する逆境的体験は、その後の人生に長く影響を残すことがあります。 虐待、家族の不和、精神疾患や依存症がある親との生活、こどもへの過剰な期待や価値観の押しつけ──。 こうした「ACE(逆境的小児期体験)」は、大人になってからの心身の健康、対人関係、社会参加にまで影響を及ぼすことが研究で示されています。

 しかし、ACE研究が本当に伝えたいことは、そのような体験があったとしても「未来は変えられる」という事実でもあります。 子どもが早い段階で、健康な大人とつながり、必要な支援(理解してもらえる他者とのつながり、居場所、共感し支えあえる仲間との交流等)にアクセスできること。 それだけでも、他者への信頼感、自己肯定感、社会への安心感は大きく回復します。 「助けて」と言える力─受援力─が育ち、困難に直面したときにひとりで抱え込まずに人とのつながりの中で問題解決を目指せるようになります。 その結果、子どもは心の健康を維持しながら、成長し、やがて、他者への信頼を基盤に社会経済活動に参加し、社会的自立へと歩むことができるのです。

 一方で、誰にもつながれないまま一人で問題を抱え続けて大人になった場合、状況は大きく異なります。 幼少期の苦しい体験は、自己肯定感の低下や認知のゆがみを生み、社会から孤立しやすい状態をつくります。 心の傷の扱い方が分からないまま、満たされない気持ちや感情の混乱をおさめるために、粗暴な行為や普通ではない食行動または、自傷行為、あるいは飲酒、薬物摂取などの嗜癖行動といった「苦しい気分、気持ちを楽にするための代替行動」としてリスクの高い行動を選んでしまうことがあります。 そして、それはさらに社会からの孤立を深め、周囲の人間関係を遠ざけます。さらには、病気の発症、時に命を危険にさらしてしまうことさえあります。また、そこまでいかなくとも、自己評価の低さから、自ら回避的に他者との心情交流を避けることもあるでしょう。

 私は生活困窮から自立を支援する現場で、こうした現実を何度も目の当たりにしてきました。 幼少期からの度重なる虐待、家族の確執の板挟み、過剰な期待や価値観の押し付け──。 こどもの頃から、たった一人で何とかしようと頑張り続けた結果、大人になり、ある日突然「ぽきっと折れる」ように心身が動かなくなったり、 精神疾患や身体症状が現れ、働き続けることができなくなる方が少なくありません。 折れても支えてくれる家族もなく、周囲のサポートもなく、社会的孤立の中で心身ともに疲弊しきってから、ようやく生活保護につながり、 そこから立て直しが始まるというケースを多く見てきました。

 その方に「誰かを信じて頼り、助かった、安心できた」という経験があれば、折れて枯渇する前に、誰かにSOSを出すことができたかもしれません。

 大切なことなので、もう一度お話しします。

 子ども時代に、 「苦しいときは助けてくれる人がいる」「壊れるまで頑張り続けなくていい」「自分の気持ちを大切にしていい」 そう言ってくれる大人の存在があれば、人は自分を許し、また、つらいときに助けを求め、再起をかけて踏ん張ることができます。 しかし、そのような「あなたは生きてていい」という肯定的なメッセージを受け取れなかった人には、なすすべがなくなることもあるのです。

  だから、「自分は生きてていい」という感覚を育てられなかった方に「折れるのは甘えだ」「もっと強くなれ」と言うのは、植物に、根を張る土も水も与えず「花だけは咲かせろ、実をつけよ」と求めるようなものです。この見極めが非常に大事だと思っています。

 CoCoSoRaは、まだ部屋の隅でうずくまり、耐えることしか知らないこども、 あるいは自分以外の誰かのために必死に頑張り続けている10代・20代の若者とつながりたいと願っています。 そして、「あなたは一人ではない」「あなたには自分を大切にする価値がある」というメッセージ伝え、 社会の中に居場所のある、「生きてていい」と思える大人へと育っていくためのサポートをしたいと考えています。

私たちは、この思いに共感してくださる方々とつながっていきたいと思っています。 どうか気軽にメッセージをお寄せください。

あなたの一歩が、誰かの未来を確実に変える力になります。

※ACE(Adverse Childhood Experiences:逆境的小児期体験)研究とは、アメリカの疾病予防管理センター(Centers for Disease Control:CDC)とフェリッティ(Felitti VJ)ら医師らによる疫学研究。幼少期に受けた虐待、ネグレクト、家庭内不和、親の精神疾患や依存症などの逆境体験が、大人になってからの心身の健康、対人関係、社会参加に長期的な影響を及ぼすことを示した。しかし同時に、早期に安心できる大人や支援とつながることで、その影響は大きく緩和され、子どもの未来は変えられることも明らかにしています。

 

この記事を書いた人

目次